自閉症のお子さんの生活スキルとIT上流工程

自閉症のお子さんの療育では、生活スキル(例えば、歯を磨く、トイレで用をたす、などなど)の手順を文字やイラストで書き表して、それをお子さんの見えるように貼ってあげると、うまくスキルがついていくというのが定番です。

ところが、この手順を作るという作業は、並半端なものではありません。

既にやっているお母さんは、ものすごい努力家です。

できていない、お母さんを責めているわけではありません。

先日、ジョブコーチという手法の概要をセミナーで聞きました。障害のある人に仕事を教える手法で、アメリカで体系化されたものです。

仕事を教える部分だけにフォーカスすると、

1)職務分析 / Job Duty Analysis

1日の仕事の流れに関して、「いつ」、「どこで」、「何を」するかを整理してリスト化します。

2)課題分析 / Task Analysis

動作や作業の手順を小さな行動単位に分けて、時系列に沿って並べます。

3)システマティック・インストラクション / Systematic Instruction

課題分析をもとに効率的な教え方をします。

4)フェイディング / Fading

課題分析の部分ですが、(例えば「(農協の出荷準備)ほうれん草の束を、袋に詰める」)一つ一つの行動に分解して時系列に並べます。手順書作りと言っていいと思います。

規模は違いますが、ITの世界でいうと、業務分析です。オフィスで行っていた従業品の業務をITシステムに移行するために、業務手順を可視化する工程です。IT技術者にもランクやレベルがありますけど、上位のランクの人でなければ業務分析は出来ません。そしてITだけじゃなく、業務そのものの知識も要求されます。業務分析に唯一の正解というのはありません。どう可視化するかは、技術者の腕の見せ所で、いい加減な分析をすると、システム化できません。良い分析をすると、システム化のコストも低く抑えられ、後にそのシステムを使う従業員にとっても使い勝手の良いシステムになります。

一つの仕事の課題分析も同じように、唯一の正解というのはありません。使いながら改良しても構いません。ちゃんと課題分析すれば、手順書作りや視覚化が容易です。要は、とても能力が必要なのです。

ジョブコーチの行う、課題分析は、その職場職場で固有のものですから、一品作りになりますね。他の職場への横展開は難しい。それでも、同じ職場に障害を持った人が複数いるならば、手順書の共有は可能です。

話を最初に戻して、生活スキル。

みんな当たり前のように思っているから、手順書を作ろうなんて、あまり意識がいきません。しかし、もし作るとすると、中身は課題分析そのものですので、能力がないと課題分析できません。

冷静に考えると、生活スキルの課題分析、すなわち手順書化は、とても費用のかかる作業です。生活スキルは数も多い。

一つ良い知らせは、どの家庭でも基本的な生活スキルは同じなので、一度、手順書化(あるいは視覚化)してしまえば、多くの家庭で同じものが使えます。

今までの、お母さんお父さんの苦労が目に浮かびますね。

既に生活スキルの課題分析をやっている人は多いので、まあ、それぞれの家庭だけに閉じて眠っているわけですが。一から作るか、出来ているものを改善するかはありますが、ちゃんと作れば、多くの家庭が助かるでしょう。

「自閉症児の家庭療育の標準化」

これが、各家庭を救う道です。

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