障害児ら拘束の福岡のNPO法人、メディア解説は表層に過ぎない

さるくの長瀬さんの活動が事件になってしまって、驚いています。

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事の本質を多くの人にわかって欲しいので(おそらく無理だろけど)、私なりに思うことを書きます。

※ あんまり投稿していない、個人ブログにヒッソリと書いておきます。

彼のやっていた「自閉症の行動障害を100時間で改善する」は事実だと思います。だだ、取り巻く状況が複雑なため、問題の多い手法でもあります。

彼は、その手法は応用行動分析学に基づいたアプローチだと云っています。その手法は、まだ名前が確定していませんけど、「暴露反応妨害消去法」と言えると思います。この手法を応用行動分析学の人たちは試してきませんでした。でも、彼はやった。

強い「暴露反応妨害消去法」を短期間に集中的に行うと、問題な行動は数日で消去できます。身体拘束による妨害を行うので、側から見ると虐待に見えるでしょう。

では、「暴露反応妨害消去法」をマイルドにやったら、どうなるでしょうか?

暴露量が少ない、すなわち、弱い刺激を与えた場合は、少ない力で反応を妨害する(行動をさせない)ことができます。このことをずっと繰り返していけば、いずれ消去されます。結果的に、誘発する刺激があっても、問題な行動を起こさなくなります。

ここで、自閉症支援の基本でもある2つの支援の状況を見ていきます。

  1. PECSを使って、子どもが自分の欲しいものを要求し、それが得られるのを待っている。そして、得られたものを食べる(または、得られて物で遊ぶ)。この一連の時間の中でも、問題行動を誘発する刺激を子どもは受けています(弱い刺激ですが)。欲しいものを一生懸命に得ようとしているので、その行動が優先します。すなわち、問題な行動を起こしません。
  2. スケジュール表を使って、予定どおりに一連の行動をしている。この一連の時間の中でも、問題行動を誘発する刺激を子どもは受けています(弱い刺激ですが)。予定を一生懸命にこなそうとしているので、その行動が優先します。すなわち、問題な行動を起こしません。

PECSもスケジュール表も問題行動の消去が弱い力で起こっているのです。

もし、PECSもスケジュール表も両方やっている自閉症の子どもなら、1日の中ではスケジュール表を使っている時間の方が長いです。結果的に、スケジュール表を使う副次効果として、問題な行動が消去され続けます。

健常な子どもの場合、頭の中にスケジュール表が入っているようなものでして、見通しに従って行動するという事が、無意識のうちに自然に起こります。健常な子どもだって、問題な行動を起こす誘発刺激に曝されてるわけですけど、見通しに従った行動が優先されます。知らず知らずのうちに、誘発刺激に対する問題行動の発生が、常に消去されているのです。

PECSやスケジュール表を日常的に使っている自閉症の子どもは、問題な行動の発生が少ないです。

要するに、PECSは要求行動の支援が主機能で、同時に副次効果として問題行動の消去が起こっています。スケジュール表は、予定に従った行動の支援が主機能で、同時に副次効果として問題行動の消去が起こっています。

長瀬さんのやった方法は、数日という短時間で問題行動の消去を行う手法でした。強い「暴露反応妨害消去法」。

その消去と同じメカニズムが、もう長い間、自閉症の基本支援として認識されているPECSやスケジュール表の中に含まれているのです。そして、身体拘束や虐待といった行為から無縁です。

従来から言われている基本的な支援を大切にしましょう。

お子さんとご家族のために!

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